備品や医薬品を無断で持ち帰り・転売した職員の末路。会社からの処分と問われる「一発アウト」の罪

「会社の備品だし、これくらいバレないだろう」「使っていないお薬があるから、ちょっと持ち帰って自分で使おう(あるいはフリマアプリで売ろう)」

もし、そんな軽い気持ちで行動してしまったらどうなるか。先日、医療機関の職員による、信じられないような備品の無断転売事件が報道されました。

病院の男性職員が備品のパソコンを無断転売 米沢市立病院と医療連携の病院で 警察に被害届提出の方針

米沢市立病院の医療連携病院に勤務する男性職員が、病院の備品であるノートパソコンを無断で持ち出し、売却していたことが分かりました。 病院は今後、警察に被害届を提出する方針です。 (中略) 病院側は男性職員から事情を聴くなどして、事実関係が確認され次第、厳正に処分するとともに、警察に被害届を提出する方針です。

引用元:山形放送(YBC)ニュース(2026年6月29日配信)

これは決して他人事ではありません。悲しいかな、調剤薬局の現場でも、モラルの欠如したスタッフによって「文房具や検査キットの持ち帰り」から、最悪のケースでは「医療用医薬品の無断持ち出し・転売」まで、実際に起こりうる闇の深いテーマです。

もし、調剤薬局に勤務する薬剤師や登録販売者、医療事務がこのような「魔が差した行動」をとってしまった場合、会社からどのような処分を下され、どのような罪に問われるのか。調剤チェーンの管理側の視点から、その恐ろしい末路をリアルに解説します。

🛑 1. 会社から下される「社会的死」を意味する処分

薬局の備品(パソコン、文房具、お薬手帳、検査キットなど)や、言うまでもなく医療用医薬品を無断で持ち出したり転売したりした場合、会社側は組織のガバナンスとして一切の容赦をしません。

  • 懲戒解雇(即日クビ): 一発で「懲戒解雇」になる可能性が極めて高いです。通常の退職とは異なり、その日で職場を追い出されることがあります。
  • 退職金の不支給・没収: 長年勤めて会社に貢献していたとしても、懲戒解雇になれば会社の退職金規程に基づき、退職金は全額不支給(0円)になるケースがほとんどです。これまでの努力がすべて水の泡になります。
  • 損害賠償請求(全額弁済): 持ち帰った備品の購入費用や、転売した医薬品の全額弁済を求められます。もしそれによって薬局の業務に支障が出た場合、逸失利益(本来得られるはずだった利益)まで上乗せして請求されることもあります。
  • 同業者への悪評(再就職の不可): 狭い医療業界・薬局業界です。「あそこの店舗で備品を盗んでクビになったスタッフがいる」という噂は、驚くほどのスピードで近隣の薬局や地域ネットワークに広がります。履歴書に「懲戒解雇」と書かざるを得ないため、二度と医療業界での再就職はできないと思ってください。

⚖️ 2. 警察へ直行。問われる重い「刑事罰」

今回の病院の事件でも「警察に被害届提出の方針」とある通り、会社側はビジネスとして淡々と警察へ突き出します。

  • 業務上横領罪 または 窃盗罪(一発アウトの重罪): 薬局の備品やお薬を無断で持ち帰る行為は、その人の立場や状況によって「業務上横領罪」や「窃盗罪」といった非常に重い罪に問われます。 「自分は管理担当じゃないから…」「捨てる予定のものだから…」といった言い訳は一切通用しません。どちらの罪に問われたとしても、最悪の場合は刑務所に行くことになる重大な犯罪です。
  • 医薬品医療機器等法(薬機法)違反(※お薬を転売・勝手に使った場合): もし持ち出したものが「医療用医薬品」だった場合、それをフリマアプリなどで転売する行為はもちろん、「正規の手続き(処方箋やしかるべき販売手続きなど)を経ずに、勝手に持ち帰って自分で使う」行為も法的に完全にアウトです。 医療用医薬品の流通や授受は、法律で厳格にルールが定められています。いくら自分が薬剤師や薬局スタッフだからといって、組織の管理を通さずに勝手にお薬を融通したり私物化したりする行為は、一発で重いペナルティの対象になります。
  • 薬剤師免許の取り消し・業務停止(※薬剤師の場合): 刑事罰が確定した場合、厚生労働省の審議によって「薬剤師免許の取り消し」や「一定期間の業務停止」といった重い行政処分が下される可能性があります。 せっかく苦労して取得した国家資格を失う、あるいは薬剤師として働けなくなるリスクを伴うため、一瞬の物欲の代償としてはあまりにも大きすぎます。

📦 3. 「これくらい…」がバレてしまう理由

「お薬の緩衝材や、期限の切れた廃棄予定の薬、余っている文房具ならバレないのでは?」と思うのは大きな間違いです。なぜなら、以下のようなルートから発覚する可能性が非常に高いからです。

  • デジタル管理による在庫のズレ: 現代の調剤薬局の多くは、仕入れ(卸からの納品データ)と処方(レセコンの調剤データ)がデジタルで紐づいているケースが増えています。定期的な棚卸しはもちろん、日々の在庫管理システムによって、帳簿上の数字と実際の在庫が「1錠、1個単位」で合わないとなれば、本部が異常を察知して調査に入る可能性があります。
  • 店舗内の物理的な証拠: セキュリティ対策として、店舗内や調剤室に防犯カメラが設置されているケースも少なくありません。誰がどの時間帯に不審な動きをしたか、映像として一目録画されているケースがあります。
  • 周囲のスタッフからの「密告」: システム以上に確実なのが、一緒に働く同僚の目です。狭い薬局という空間だからこそ、「あの人、最近お薬の扱いが不審だな」「備品をカバンに入れているのを見た」といった周囲からの密告(タレコミ)によって、上層部や本部に一発で筒抜けになるケースは決して珍しくありません。

「うちの店はシステムが入っていないから」「誰も見ていないから大丈夫」は通用しません。どこからどのように足がつくか分からないのが、組織で働くということです。

💬 まとめ:割に合わなすぎる最大の愚行

会社の備品や医薬品を盗んで得られる利益なんて、転売したところでせいぜい数千円から数万円程度です。

それに対して失うものは、「今の仕事」「これまでのキャリア」「退職金」「薬剤師資格」「家族の信頼」そして「自由(前科)」と、文字通り人生のすべてです。

調剤薬局の在庫や備品は、会社の利益を生み出すための大切な資産であり、患者さんの命に直結するものです。「ちょっと魔が差した」では済まされない重い現実があることを、私たちは決して忘れてはなりません。

【現実的な解決策】不満や将来への不安があるなら、一線を越える前に「外の世界」を見るべき

もし、リスクを冒してまで「会社の備品や医薬品に手が伸びそうになる」「少しでも副収入が欲しい」「今の会社の給料や体制に絶望している」という心理状態にあるのなら、本当にやるべきことは犯罪に手を染めることではありません。自分の市場価値を正しく評価してくれる、もっと条件の良い職場へ移ることです。

今の時代、薬剤師や医療事務のスキルがあれば、もっとクリーンで、給与水準が高く、スタッフの労務管理がしっかりしたホワイトな薬局はたくさん見つかります。

狭い世界でストレスを溜め込み、魔が差して人生を棒に振る前に、まずは「外の選択肢」を眺めてみてください。今の会社にしがみつく必要がないと分かって心がフッと軽くなりますよ。

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