敷地内薬局利用料とは?本当に導入される?

敷地内薬局利用料というキーワード

国内外の最新医療ニュースを調べるのに利用しているm3.comに、2021年8月25日に開催された中医協総会の記事が掲載され、その中に敷地内薬局での調剤という文言が。

気になって厚生労働省のウェブサイトを確認したところ、「選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果(速報)について」の資料の中に敷地内薬局利用料というキーワードが出てきました。

敷地内薬局利用料は選定療養?

資料によると、

敷地内薬局は患者のための薬局ビジョンに示された「立地から地域へ」の思想と逆行する仕組みである。調剤報酬を減額するなどの措置が取られているが、この施策が逆に「患者負担が安い薬局」を生み出し、患者を誘導している。
患者負担の差異により地域医療のあるべき姿とはかけ離れた薬局の利用を推進することにつながっており、その患者負担の差異を是正するため、選定療養の導入が必要と考える。
敷地内薬局利用料として、患者から一定額を徴収することで、敷地内ではない(患者のための薬局ビジョンで示された目指すべき姿の)地域の薬局を利用した場合の一部負担金との差異を解消する、もしくは高額になるように金額を設定する。
本件の趣旨を考慮し薬局がこの費用を「徴収することができる」ではなく「徴収しなければならない」とする必要があると考える。

厚生労働省 中央社会保険医療協議会 総会(第486回) 議事次第

とのことで、敷地内薬局利用料を差額ベッド代のような選定療養(追加費用を負担し、保険適用外の治療等を保険適用の治療と併せて受けることができる制度)の一つとして徴収した方がよいのではないか、という意見が寄せられたようです。

敷地内薬局利用料導入の影響

意見として寄せられただけですので、実際に敷地内薬局利用料が導入されるかどうかは分かりません。

ただ、敷地内薬局利用料の料金設定次第ではこの敷地内薬局というビジネスモデル自体が成り立たなくなる可能性もあり、逆に患者さんにとってほとんど影響のない程度の料金設定であれば単純に敷地内薬局の売上が上がるだけになります。

病院との間で契約している賃料等にも影響する可能性があるだけに、敷地内薬局利用料の料金設定は非常に難しいでしょう。

「救急車→外来→帰宅」は選定療養費を、関係団体要望

m3.com編集部 レポート 2021年8月25日 (水)

 厚生労働省は8月25日の中医協総会(会長:小塩隆士・一橋大学経済研究所教授)に、選定療養に導入すべき事例等に関する提案・意見募集の結果を報告した。「救急車を利用して入院とならずに外来診療にて帰宅する場合」、「1処方につき 70 枚を超えて湿布薬を希望投与した場合の費用」など109件の提案があり、事務局で整理した上で、今後中医協で必要に応じて議論する(資料は、同省ホームページ)。

意見は4月19日から5月18日にかけて同省ホームページで、また4月19日から6月18日にかけて関係学会・関係団体を対象に募集。新たな選定療養の追加に係る提案が医科16件、歯科57件、全般およびその他12件。既存の選定療養の見直しに係る提案が23件、その他が1件だった。

現在は選定療養費として11類型(特別の療養環境〔差額ベッド〕、制限回数を超える医療行為、予約診療、180 日超の入院、時間外診療、歯科の金合金等、大病院の初診、金属床総義歯、大病院の再診、小児う蝕の指導管理、水晶体再建に使用する多焦点眼内レンズ)が定められている。

「救急車利用による外来受診」は、救急車を利用して入院ならずに外来診療にて帰宅する…

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