2026年4月、日本ベーリンガーインゲルハイムより、長年親しまれてきたNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)「モービック錠(一般名:メロキシカム)」の販売中止が正式に案内されました。
今回の発表で注目しているのは、その「代替品」です。通常であれば同一成分のジェネリック(GE)が案内されるケースが多い中、公式が推奨したのは別成分である「セレコックス錠の後発品(ジェネリック)」でした。
なぜこのような案内になったのか、公開されている事実に基づき、実務上のポイントを整理します。
モービック錠 販売中止の概要
メーカー発表に基づく事実は以下の通りです。
- 中止理由: 需要減少が継続しているため
- 販売中止時期: 2027年3月頃(在庫消尽をもって終了)
- 経過措置期限(予定): 5mg:2028年3月末、10mg:2029年3月末
公式が案内する代替候補品
メーカーが指定した代替品は、同一成分の「メロキシカム錠GE」ではなく、別成分の以下の製品となっています。
- セレコキシブ錠100mg「VTRS」
- セレコキシブ錠200mg「VTRS」
なぜ「メロキシカム」ではなく「セレコキシブ」なのか?
① メロキシカム自体の需要減少
モービック錠の販売中止が需要減少によるものということもあり、日本ベーリンガーインゲルハイム側としても、需要減少による不採算でいつ販売中止になるか分からないモービック錠GEではなく、同じNSAIDsで比較的メロキシカムに近い特性を持つ「セレコキシブ」を代替品として選択したのかもしれません。
② セレコキシブ錠「VTRS」が選ばれた背景
ここで一つ疑問が残ります。なぜ先発品の「セレコックス錠」ではなく、後発品の「セレコキシブ錠『VTRS』」が案内されているのでしょうか。
ご存じの通りセレコキシブ錠「VTRS」はセレコックス錠のAG(オーソライズドジェネリック)であり、多数あるセレコキシブ錠のメーカーの中でも特にシェアが多いことで知られています。一方で、選定療養の影響もあってセレコックス錠を選ぶ患者さんはほとんどいなくなりました。こういった背景を踏まえてセレコキシブ錠「VTRS」が選ばれたのではないかと推察されます。
現場の薬剤師が注意すべきこと
- 成分が異なる点: 案内通りに切り替える場合、メロキシカム(モービック)からセレコキシブへの処方変更(疑義照会等)が必要になります。
- 同一成分を希望する場合: 自局でメロキシカムGEを採用し続ける場合は、そのメーカーの供給状況(販売中止の対象になっていないか)を個別に確認する必要があります。
- マスタの更新: モービックの経過措置期限を念頭に置きつつ、速やかに代替品への移行準備を進めてください。
まとめ
「モービックの代わりはメロキシカムGE」という図式が、原薬問題や市場再編によって変わりつつあります。 今回の公式案内は、単なる製品終了の告知にとどまらず、「成分そのものの供給リスクを考慮し、より安定した代替案を提示した」という、メーカー側の現実的な判断が反映されたものと言えそうです。
