若者の間で市販薬の過剰摂取（オーバードーズ：大量の薬を服用する行為）が広がっていますが、過剰摂取後に救急搬送された人のうち半数以上が女性であったと厚生労働省等の調査で判明しました。
市販薬の過剰摂取をした場合の身体への影響は？
薬の過剰摂取は、身体へ様々な影響を及ぼす可能性があります。具体的な影響は、摂取した薬の種類や量、個人の体質や健康状態によって異なりますが、一般的な影響としては以下のようなことがあります。
- 毒性反応: 薬の過剰摂取により、身体への毒性が増大し、中毒症状が現れることがあります。これには吐き気、嘔吐、下痢、めまい、意識障害などが含まれます。
- 器官障害：過剰摂取により特定の薬物が臓器に損傷を与える可能性があります。例えば、肝臓や腎臓への負担が増大し、肝臓機能障害や腎不全などの症状が現れる可能性があります。
- アレルギー反応: 薬の過剰摂取により、アレルギー反応が引き起こされることがあります。これには発疹、かゆみ、蕁麻疹、呼吸困難などが含まれます。重篤な場合、アナフィラキシーショックが発生することもあります。
- 薬物相互作用: 他の薬物や食品との相互作用が増大し、投与期間中に影響が生じる可能性があります。これにより、薬の効果が高まったり、副作用が増加したりすることがございます。
過剰摂取の症状や影響は、摂取された薬の種類や量によって異なります。 過剰摂取を疑った場合は、早急に医療機関に連絡し、適切な処置をとることが重要です。
市販薬を過剰摂取した場合の初期症状は？
市販薬を過剰に摂取した場合、初期症状は以下のようなものがありますが、個人や薬の種類によって異なります。
- 吐き気
- 下痢や腹痛
- 頭痛
- めまいやふらつき
- 眠気や傾眠
- 不安や興奮状態
- 発汗
- 皮膚の発疹やかゆみ
これらの症状が軽い場合でも、薬の過剰摂取による影響は重篤な場合があります。 特に、多くの市販薬に含まれる鎮痛剤や解熱剤、風邪薬などは、過剰摂取により肝臓や腎臓への影響が生じる可能性があります。また、一部の成分はアレルギー反応を生じることがあります。
過剰摂取の症状が現れた場合は、すぐに医療機関に連絡し、適切な処置をとることが重要です。自己判断や放置はせず、専門家の指示に従って行動することが安全です。
救急車が来るまで何をしていればいい？
市販薬の過剰摂取をした場合はすぐに病院などの医療機関に行く必要がありますが、意識が朦朧としており、ほとんどの場合は自力で行くことは困難なので救急車を呼ぶことになります。
救急車が来るまでの間に、摂取した薬の種類と量、年齢や身体状態などの情報を提供します。救急隊や医師が適切な判断をするためには、正確な情報が必要です。
過剰摂取した本人が道路上など危険な場所にいる場合は、安全な場所に移動する必要があります。また、意識を止めたり、呼吸が止まったりする場合は、心肺蘇生法を行う必要があります。
市販薬の過剰摂取で救急搬送されると病院ではどういった処置が行われる？
市販薬の過剰摂取による救急搬送の場合、病院での処置は以下のようなものが行われる可能性があります。
- 評価と診断: 患者の状態を評価し、どのくらいの量の薬が摂取されたかを確認します。また、摂取された薬の種類や成分によっても対応が異なります。
- 胃洗浄: 重症の場合、胃の中の薬物を取り除くために胃洗浄が行われることがあります。これは、薬物が吸収される前に胃から排出するために行われます。
- 活性炭の投与: 胃洗浄後、活性炭を服用させることで、胃や腸内の毒素を吸着させて排出しやすくします。
- 対症療法: 患者の症状に応じて、具体的な対症療法が行われることがあります。例えば、吐き気や嘔吐がある場合には、吐き気を抑える薬が投与されることがあります。
- モニタリング: 患者の状態を定期的にモニタリングし、必要に応じて治療方針を調整します。重篤な症状が現れる可能性があるため、患者は一定期間、病室や集中治療室でモニタリングされることがあります。
- カウンセリングと精神的支援: 薬物過剰摂取は精神的な問題やストレスなどに関連している場合があります。そのため、患者や家族に対してカウンセリングや精神的な支援を提供することも重要です。
これらの処置は、患者の状態や摂取した薬の種類によって異なる場合があります。
市販薬の過剰摂取で治療に要する費用は？
市販薬の過剰摂取による治療にかかる費用は、様々な要因によって異なります。以下は、治療費に影響を与えるいくつかの要因です。
- 治療の種類: 患者の状態や摂取した薬の量に応じて、治療の種類が異なります。
- 医師の診断と処方: 医師による診断や処方される治療薬によっても費用が変わります。必要に応じて検査や検査費用も追加される可能性があります。
- 入院の必要性: 重症の場合や摂取された薬の影響が深刻な場合、入院が必要になることがあります。入院に伴う医療費や施設利用料が費用に含まれます。
- 追加治療やモニタリング: 患者の状態に応じて、追加の治療やモニタリングが必要になる場合があります。これには、洗胃や活性炭の投与、定期的な観察やモニタリングなどが含まれます。
全体として、市販薬の過剰摂取による治療費は数千から数万円になる場合がありますが、これは一般的な目安であり、個々のケースによって異なります。
なお、市販薬の過剰摂取は故意にけがや病気になるような行為と見なされることがあり、この場合には健康保険が使えなくなる可能性があります（精神疾患等による場合は除く）。
市販薬の過剰摂取による後遺症はどういったものがある？
市販薬の過剰摂取による後遺症は、摂取された薬の種類や量、個人の身体状況によって異なります。一般的な後遺症には以下のようなものがあります。
- 肝臓障害: 非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）やアセトアミノフェン（パラセタモール）などの一部の薬は、肝臓に損傷を与える可能性があります。過剰摂取により肝臓障害が発生することがあります。
- 腎臓障害: 一部の薬物は、腎臓に影響を与える可能性があります。特に、非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）は腎機能に影響を及ぼすことが知られています。
- 消化器系の障害: 過剰摂取によって胃や腸に損傷が生じることがあります。これにより消化器系の障害や出血が発生する可能性があります。
- 神経障害: 過剰摂取によって神経系に影響を及ぼすことがあります。一部の薬物は神経毒性を持ち、神経障害を引き起こす可能性があります。
- 心臓障害: 過剰摂取によって心臓の機能に影響を与える可能性があります。一部の薬物は心拍数や血圧を変動させることがあり、心臓障害を引き起こす可能性があります。
これらの後遺症は、摂取された薬の種類や量、個人の身体状況によって異なります。重症な後遺症が生じる場合もあるので、過剰摂取によるリスクは非常に大きいものと言えます。
非常にリスクが高いのに市販薬の過剰摂取をしてしまう理由は？
市販薬の過剰摂取によって辛い治療や重症な後遺症のリスクがあるにもかかわらず、一向に市販薬の過剰摂取は無くなりません。
市販薬の過剰摂取をする理由はさまざまですが、一般的に以下のような要因が挙げられます。
- 痛みや不快感の軽減: 健康問題や身体的な不快感（例：頭痛、生理痛、関節痛など）を和らげるために、市販薬を過剰摂取することがあります。人々は症状を速やかに軽減するため、推奨された用量を超えて薬を摂取することがあります。
- 精神的な負担やストレスへの対処: 抑うつ、不安、ストレスなどの精神的な問題に対処するために、市販薬を乱用することがあります。薬物の摂取により一時的に感情を麻痺させたり、心の負担を軽減すると感じることがあるためです。
- 睡眠障害の治療: 睡眠障害を抱える人々は、市販の睡眠補助薬を過剰摂取することがあります。これはより深い睡眠や睡眠時間の増加を望んでいるためですが、誤った用法や用量で使用されることがあります。
- 自己処理と自己治療: 一部の人々は、医療機関を訪れることなく自身の健康問題を解決しようとします。これは、診断や処方箋の提供を受けることなく、市販薬を用いて自己診断と自己治療を行うことを意味します。このような行動は危険であり、薬物の誤った使用や過剰摂取を引き起こす可能性があります。
これらの要因が組み合わさり、市販薬の過剰摂取が発生する可能性があります。
昨今はSNS等のインターネットを利用して市販薬の過剰摂取の情報を取得できることもあり、ドラックストアやネットショッピングで市販薬を購入して簡単に過剰摂取をできる環境にあります。
市販薬の過剰摂取で救急搬送される半数以上が女性なのはなぜ？
市販薬の過剰摂取で女性が男性よりも救急搬送される割合が高い理由として以下のような要因が考えられます。
- 身体的な特性と生理学的な影響: 女性は男性よりも体重が軽い傾向があり、同じ量の薬物を摂取した場合により強い影響を受ける可能性があります。また、女性の生理周期やホルモンバランスの変動は、薬物の代謝や効果に影響を与えることがあります。
- 心理的な側面とストレスへの対処: 女性は一般的にストレスに敏感であり、ストレスや精神的な負担を軽減するために市販薬を頼ることがあります。特に、家庭や職場でのストレスや責任、社会的なプレッシャーに対処するために市販薬を摂取するケースが見られることがあります。
- 精神的な側面と心理的な問題: 女性は男性よりも精神的な側面での問題に対処するために市販薬を使用することがあります。抑うつや不安、身体的な不調による心理的な負担が過剰摂取の原因となることがあります。
これらの要因が組み合わさり、女性が市販薬の過剰摂取によって救急搬送される割合が高まる可能性があります。
市販薬の過剰摂取問題を減らすためには？
市販薬の過剰摂取を減らすためには、個人が抱える精神的な面に焦点を当てることも重要です。以下にいくつかの方法を挙げます。
- ストレス管理: ストレスは過剰摂取の一因となることがあります。ストレス管理の技術を学び、ストレスを軽減するための方法を見つけることが重要です。ストレス管理技術には、深呼吸、瞑想、ヨガ、リラクゼーション法などがあります。
- 感情の表現: 感情を適切に表現することが重要です。感情を抑圧すると、それが過剰摂取などの問題行動につながる可能性があります。感情を表現する方法には、友人や家族との話し合い、日記の書き込み、アートや音楽の制作などがあります。
- 心理的なサポートの受け入れ: 心理的なサポートを受け入れることが重要です。心理カウンセリングや心理療法は、ストレスや精神的な問題に対処するための効果的な手段です。専門家のサポートを受けることで、問題に対処する能力を高めることができます。
- 健康的なライフスタイルの習慣化: 健康的なライフスタイルを習慣化することも重要です。バランスの取れた食事、適切な睡眠、運動、ストレス軽減活動などが含まれます。健康的なライフスタイルは心身の健康を促進し、過剰摂取などの問題行動を減らすのに役立ちます。
これらの方法を実践することで、精神的な側面から市販薬の過剰摂取を減らすことができます。しかし、精神的な問題が深刻な場合は、専門家の支援を受けることが重要です。
