ロキソニンゲル1%の後発品(ジェネリック医薬品)であるロキソプロフェンNaゲル1%「JG」「NP」「ラクール」が全て販売中止になるという記事を2024年秋頃に書きましたが、後発品の販売中止が決まってからも問題なく安定供給されていた先発品のロキソニンゲル1%が2025年春頃から限定出荷で入りづらくなりました。
今回は、後発品であるロキソプロフェンNaゲル1%の販売中止と先発品であるロキソニンゲル1%の限定出荷のタイミングに時間差がある理由について考察していきたいと思います。
【考察1】選定療養の影響?
2024年10月から選定療養が始まり、対象となっているロキソニンゲル1%についてもギリギリまで後発品のロキソプロフェンNaゲル1%を使い続ける薬局が多かったと考えられます。
販売中止が決まっている製品を使い続けることは通常であればあまり考えられませんが、選定療養の影響で患者さんが後発品のロキソプロフェンNaゲル1%を希望する以上は完全に後発品がなくなるまで切り替える選択をしない薬局があるのも理解できます。
【考察2】ロキソニンゲル1%の在庫があった?
それなりにロキソニンゲル1%の在庫が潤沢だったのではないかと考えられますが、【考察1】の理由も合わさって2025年春頃になって後発品の在庫が無くなってきて急激にロキソニンゲル1%の需要が高まると共に在庫が無くなり、限定出荷に踏み切ったと考察できます。
【考察3】ロキソニンゲル1%の増産が難しい?
【考察1】【考察2】が正しかったとすれば、後発品であるロキソプロフェンNaゲル1%の販売中止が決まり、まだロキソニンゲル1%の在庫がそれなりにある段階で増産すればいいのでは?と考えがちですが、医薬品の生産には原薬の確保から製造、品質検査、出荷に至るまで、数ヶ月単位の時間を要することが一般的です。後発品であるロキソプロフェンNaゲル1%の販売中止が決定しても、すぐに増産体制に移行できるわけではありません。
メーカーもビジネスで医薬品を製造しています。増産してメリットがあるなら限定出荷を起こすこともなく常に在庫を潤沢にしておくでしょう。毎年薬価を下げられ、ただでさえ儲からなくなった医薬品など増産したくもないというのがメーカーの本音ではないでしょうか。
ロキソニンゲル1%を増産したくない?
ロキソプロフェンNaゲル1%の販売中止にかかわらず、一般的に薬を販売中止にする際には販売中止の案内文の中で代替薬も案内します。代替薬には販売中止にする医薬品の先発品もしくは後発品で供給が安定しているものにするのが一般的ですが、ロキソプロフェンNaゲル1%の製造メーカー各社が作成した案内文の代替薬は以下の通りになっています。
【販売中止】ロキソプロフェンNaゲル1%「JG」
→【代替薬】ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」
【販売中止】ロキソプロフェンNaゲル1%「NP」
→【代替薬】フェルビナクスチック軟膏3%「三笠」
【販売中止】ロキソプロフェンNaゲル1%「ラクール」
→【代替薬】ジクロフェナクNaゲル1%「ラクール」
なんと代替薬として先発品のロキソニンゲル1%を案内している後発品が1つもありません。この理由として、
- 自社製品を代替薬にしたかった
- ロキソニンゲル1%を代替薬として案内することを断られた
ということが考えられます。
【自社製品を代替薬にしたい】というのはメーカーの売り上げを増やすという観点から考えれば頷ける話ですが、処方元のドクターからすれば「ロキソニンゲル1%出せばいいだろ」ということになり、とても処方を変えてくれとは言えません。
そうなると、【ロキソニンゲル1%を代替薬として案内することを断られた】と考えるのがスマートでしょうか。仮にそうだとすると、【考察3】で解説したロキソニンゲル1%の増産が難しいというのも腑に落ちます。
ロキソニンゲル1%限定出荷の案内文を確認すると「これまでと同程度の供給量は確保しております」と書いてありますが、これはあくまでも先発品であるロキソニンゲル1%の供給量のみのことを意味しているのであり、販売中止になった後発品の分は無いということ。
案内文にはロキソニンゲル1%の増産をするという記載がないため、当面は足りない分をボルタレンゲル1%(ジクロフェナクNaゲル1%)などに切り替えつつ、ロキソニンゲル1%の使用量が減少してくれば通常出荷レベルになるかもしれません。
【まとめ】ロキソニンゲル1%時間差で限定出荷の理由
後発品であるロキソプロフェンNaゲル1%の販売中止からロキソニンゲル1%の限定出荷までに半年ほどの時間差があった理由として、選定療養の影響で後発品の在庫が無くなるギリギリまでロキソニンゲル1%の需要が高まらなかったなど様々な理由が考えられます。
一方でロキソニンゲル1%の供給を正常に戻すには単純にロキソニンゲル1%を増産すればいいという簡単なものではなく、薬価制度や原薬の確保から製造、品質検査、出荷までの医薬品生産工程など様々な問題が絡み合っていると考えられます。
今後も毎年薬価改定の方針を進めていくのであれば同様の問題が起こる可能性はありますが、国はこういった状況をどのように考えているのでしょう。