第1回 双極性障害のうつ病相に抗うつ薬を使うべきか

2021年9月21日 スペシャリストの視点

双極性障害に用いる治療薬の変遷 双極性障害のうつ病相に抗うつ薬を使うことの是非について、これまでもさまざまな議論がなされてきました。今回は、この問題について考えてみたいと思います。 アメリカでの薬物療法の変遷は以前、m3.comの海外ジャーナル「双極性障害の薬物療法、過去20年で大きく変化(https://www.m3.com/clinical/journal/22149)」でも取り上げられていますね。この研究では、1997年から2016年までの20年間にわたる全米外来医療調査のデータを用いて、双極性障害患者に処方された薬剤の処方割合を処方箋枚数ベースで報告しています1)。 その結果、1997-2000年と2013-16年の変化を見ると、抗精神病薬(第1世代+第2世代抗精神病薬)は12.4%から51.4%に増加、気分安定薬[リチウム(Li)+抗てんかん薬]は62.3%から26.4%に減少、抗うつ薬は47.0%から57.5%に増加しています。抗うつ薬の使用割合が意外と多いですね。この結果は、合計すると100%を超えることから分かる通り、主剤に何が用いられたかではありません。

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